厚生労働省は、2023年度から5年間を対象とした第14次労働災害防止計画(14次防)に、事業者に取り組みを求める指標を盛り込む。高年齢労働者の労災や、墜落・転落災害の防止に関するリスクアセスメントを実施する事業所の割合について指標を定め、企業の自発的な取り組みを促す。
現行の13次防では、21年度までの実績で死亡者数は減少傾向にあるものの、死傷者数は増加。厚労省は、高年齢労働者の増加や、中小事業者の安全衛生対策の遅れが背景にあると分析している。
このため、14次防では新たに事業者の取り組みを評価する「アウトプット指標」と、目指すべき目標である「アウトカム指標」を設定する。
高年齢労働者については、「エイジレスフレンドリーガイドライン」に基づき安全衛生に取り組む事業者の割合を、27年までに60%とする。これにより、60歳代以上の死傷年千人率の増加に歯止めをかける。
建設業に特化した指標では、墜落・転落災害防止のリスクアセスメントに取り組む事業所割合の目標値を今後検討していく。建設業団体も参加した実務者会合の報告を踏まえ、足場点検の実施や一側足場の使用範囲の明確化などを求める方向だ。
外国人労働者については、母国語に翻訳した教材など外国人にも分かりやすい災害防止教育を行っている事業場の割合を60%にまで高める。
メンタルヘルス対策や化学物質管理の安全データシート交付、熱中症災害防止のためのWBGT値把握などに取り組む事業場割合の指標も定める。
この他、指標としては定めないが、雇用された労働者ではない個人事業者の災害対策についても記載。厚労省の検討会の議論を踏まえて対策を進めることや、既に労働者と同等の保護措置が定められた石綿などの健康障害の予防措置の周知を盛り込む。
中小事業者の自発的な取り組みを促すため、案衛対策が社会的に評価される環境整備や、経費面での配慮が必要なことも明記する。
提供:建通新聞社