全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)の関東ブロック神奈川地区意見交換会が11月8日、川崎市内で開かれた。全国共通課題の働き方改革について、特に地方公共団体による週休2日実現のための取り組みを促す働き掛けを求めた。また、設計変更での“30%ルール”の撤廃についても議題に上げた。
意見交換会には、全中建から土志田会長、朝日啓夫副会長、河ア茂副会長ら、神奈川地区から神奈川県中小建設業協会(神中建)の福島圭一会長、横浜建設業協会(横建協)の山谷朋彦会長、全中建建友会の後藤隆会長らが出席。発注者側から参加した国土交通省不動産・建設経済局建設業課入札制度企画指導室の児玉和久室長の他、関東地方整備局、横浜市の担当者らと意見を交わした。
土志田会長は「10年先を見通せる予算が確保されれば、企業として計画的な処遇改善に取り組むことができ、経営の安定に努力することが可能だ」とし、「地域社会に貢献する力強い地場産業」としての基盤づくりを進めると強調した。
神中建の福島会長は、川崎市の舗装工事や水道工事で数十社の同札によるくじ引きが発生している実態を踏まえ「都市部では(過度なダンピングなどで)同業者間の受注競争になっている」とし、多種多様なインセンティブ発注について市町村への指導を求めた。横建協の山谷会長は「課題の解決に向け、受発注者が共通認識を持ち、施工の平準化、適正な賃金など総合的に取り組む必要がある」と訴えた。主に専門工事業者が会員となる建友会の後藤会長は「発注者、元請け、下請けの共通理解で課題を解決できる」と期待した。
〜“30%ルール”撤廃を〜
意見交換では働き方改革に加え、▽適正な乗率設定▽施工時期平準化の推進▽最低制限価格率の引き上げ▽設計審査会の開催時期▽工事一時中止期間の経費変更▽週休2日制への対応▽設計変更ガイドラインの30%ルールの撤廃▽適正工期―をテーマとした。
このうち、働き方改革については「施工時期の平準化、労務単価の引き上げなど総合的に取り組まないと週休2日の実現は難しい」(神中建)、「年度末などの工事の集中による作業員や技術者の時間外労働はまだ多い。施工時期の平準化の他、担い手確保や新技術などの加点対象工事を増やしてほしい」(横建協)、「週休2日を実現するには技能者の賃上げを先行して考えるべき」(建友会)との意見があった。
国交省は、週休2日を踏まえた適切な工期設定について市町村が参加する会議で周知する他、債務負担行為の設定について市議会議長会での説明も行い、市町村が議会の理解を得やすくなるように働き掛けるとした。また、施工時期の平準化については横浜市が早期発注や年度をまたぐ発注に取り組んでおり、本年度は6月までに4割、9月までに8割を発注するとし、工期1年未満の工事でも債務負担行為の設定を進めていくと説明した。
設計変更時の30%ルールについては、総務省・国交省連名で30%ルールを禁止する執行通達が出されているにもかかわらず、地方公共団体発注工事で「設計変更時の変更額は当初契約額の30%以内」とされた会員が6割を超えるという調査結果を提示し、撤廃を強く求めた。
国交省は、過去の通達を踏まえ間違って設計変更ガイドラインを運用している地方公共団体があることを指摘した上で、「特に変更見込み金額が一定の水準を超えたことのみをもって設計変更や契約変更に応じないことは、厳に慎むこと」という今年4月の通達内容を紹介、関東ブロックの会議で今後、地方公共団体の取り組みを明らかにし、30%ルールの撤廃に向けて強力に周知する考えを示した。(地方建設専門紙の会・建通新聞社)
提供:建通新聞社