全国建設業協会と国土交通省、北海道建設業協会は10月28日、札幌ガーデンパレス札幌で地域懇談会を開いた。道建協は、激甚化する災害に備えるため、防災・減災、国土強靱化5か年加速化対策について当初予算での別枠確保を要望。2024年度から時間外労働の上限規制が適用されることから、週休2日制のさらなる導入や工期基準の徹底、施工時期の平準化など、建設業の働き方改革への支援も求めた。
全建からは奥村太加典会長らが来道。国交省から笹川敬大臣官房審議官や見坂茂範大臣官房技術調査課長、石塚宗司北海道開発局長らが出向いた。道建協は岩田圭剛会長をはじめ傘下の11地方建協の会長らが出席した。
岩田会長は時間外労働の上限規制に関し「労働時間の削減に注力を注いでいるが、建設業は受注産業で積雪寒冷地という特有の事情もある」と指摘。改めて発注者は建設業の働き方改革推進への理解が必要とした。
建設資機材や燃料費の価格高騰も、スライド条項などの適切な運用を要望するとともに、民間発注者に対しても適正な価格や工期の設定を指導するよう求めた。
笹川審議官は、官民一体で「おおむね3%の賃金上昇」の実現を目指す方針に理解を求め、「的確な賃金の引き上げのためには生産性の向上も不可欠」と提起した。
議題としては@生産性向上を含む公共工事の円滑施工と予算確保A働き方改革と処遇改善、建設キャリアアップシステムB地域の守り手としての地域建設業の信頼性向上−の3点を議論した。
予算確保について道建協は、激甚化・頻発化する災害に対して国土強靱化は喫緊の課題であり、計画的に進めるため加速化対策を当初予算で確保し必要額を別枠で計上するよう働き掛けた。
総額15兆円の加速化対策は2年目の段階で48%消化したが、国交省は残り3カ年を3等分して予算配分するのではなく、できるだけ前倒しして進められるよう財務省と交渉する考えを明かした。同対策の後継策を検討していることも示した。
働き方改革の話題で、道建協は公共、民間発注者が建設業の働き方改革への理解を深めることが必要だと主張。週休モデル工事での補正係数引き上げや書類の簡素化、適正な工期設定、工期の平準化などを要請した。
国交省は地方公共団体への指導を徹底するとともに、民間発注者に対してまずは実態調査を進めて方策を考えるとした。
担い手確保に関しては、高校などで土木コースを志望する生徒が減少傾向にあることが指摘された。国交省は「文部科学省との連携が必要と考えている」と回答した。(地方建設専門紙の会・北海道建設新聞社)
提供:建通新聞社