国土交通省は、工事現場で生コンクリートの流動性を確認するスランプのサンプリング検査について、デジタルカメラで撮影した画像を人工知能(AI)で解析する計測方法を認める。現場作業の省力化につなげる。2023年度に試行要領案を固め、全国の直轄土木工事30現場程度で試行する。
試行は、生コン車のシュートから流れ出る生コンを撮影しながら、生コンが目標スランプ値の範囲にあるかをAIで判定する。一方で、スランプ計測器を用いた従来の計測方法も実施。計測結果を比較し、計測精度など試行技術の性能を確かめる。
スランプ計測は、品質管理の一環として、生コンクリートの流動性を確かめるもの。現行のサンプリング計測では、工事監督官や試験者(生コン生産者)、販売店などの6人ほどが立ち会う。生コン車5台ごとに計測している現場もある。AIによる画像解析を導入することで、1人で確認できるようになり大勢の立ち会いが不要となる。
新技術官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)の開発技術について有効性が確認されたため、直轄工事で活用しながら、さらに導入効果や成果データを把握する。PRISM以外の開発技術も含めた試行も進め、活用を広げていく。
国交省は今後、「ICT等を活用した試験の管理基準検討ワーキンググループ」などで試行要領案を検討し、全国の直轄土木工事で試行する。試行結果を踏まえ、23年度中に実施要領をまとめる。品質管理基準案も改定し、生コン伝票などの帳票類の電子化と合わせて、24年度からの本格運用を目指す。
コンクリートの仕様・配合・製造情報について国交省は、生コン工場の出荷から現場受け入れ、スランプ検査、打設、品質管理に至る一連の工程の中で、可能な部分から電子化を検討していく。
提供:建通新聞社