九州建設業協会(会長・藤田護鹿児島県建設業協会会長)は10月12日、国土交通省や内閣府沖縄総合事務局、九州各県の代表者との定例懇談会を福岡市で実施。資材高騰や週休二日推進への対応などついて意見を交わした上で、国土強靱化基本計画に基づく具体的な中長期整備計画の策定など3項目を決議した。
藤田会長は冒頭、「景気の回復や国土強靱化の推進のためにも、加速化対策を含む公共投資の拡大が不可欠」とし、国に対し、長期的な展望による先行きの不透明感の払しょくを要望。建設業界としても、会員一丸となって工事の円滑な施工に取り組む姿勢を示した。併せて「地域の建設業が適切な利潤を確保し、若者にとって経済的にも魅力ある産業となることで、担い手の入職促進と技術の継承を図り、将来にわたって地域の守り手として安心・安全な生活を守っていける」と述べ、関係者が一堂に会し業界を取り巻く諸問題を協議する今回の懇談会の成果に期待を寄せた。
国交省の笹川敬大臣官房審議官も、「国土強靱化を進め、建設業を持続可能にするには、建設投資予算の確保とともに、賃上げによる処遇改善や働きやすい労働環境の整備といった若者が魅力を感じる産業となることが重要」と発言。労務単価の上昇が現場技能者の賃金上昇につながり、それが次の労務単価の上昇につながる好循環の継続に期待した。
懇談テーマのうち資材高騰については、九州建協側が、単品スライドの残工事2カ月以上∞対象工事費の1%≠フ条件を、当面の間、激変緩和措置として撤廃するよう求めた。国交省側は、手続き・協議期間確保のため2カ月は必要としつつも、「スライド額が確定する前の段階でも対応する。早めに発注者に相談してほしい」と伝えた。
1%条件の撤廃に対しては、▽高騰だけでなく、下落のリスクを受発注者間でどう分担すべきか▽高騰のしわ寄せを労務費に向かわないようにする▽受発注者間の請負契約や下請構造の在り方にも関係する―ことなどを挙げ、慎重に検討する姿勢を示した。
懇談会では、国や各県・政令市とのやり取りを経て、▽国土強靱化計画に基づく中長期整備計画の策定、公共事業予算の持続的な増額確保▽小規模な地方建設業の適正利潤の確保、経営基盤強化に向けた追加的支援措置の策定▽働き方改革実現に向けた実効性のある対策の確立、設計労務単価・諸経費の引き上げ―を決議。全国建設業協会の奥村太加典会長に手渡し、政府・与党への積極的な働きかけを求めた。(地方建設専門紙の会・建設新聞社)
提供:建通新聞社