全国建設業協会は、働き方改革への取り組みに併せ、建設キャリアアップシステム(CCUS)への対応についても会員に聞いた。事業者登録した会員の割合は50・6%で、前年度と比べ14・1ポイント増と大幅に増えた。しかし、登録の理由は、経営事項審査や総合評価方式での加点など「インセンティブがあるため」が約5割と最も多く、技能労働者の処遇改善など制度の本来の目的は2割台にとどまった。登録した企業の7割が実際にはCCUSを活用しておらず、制度運用の課題が浮き彫りになった。
事業者登録については、50・6%が登録したほか、2・3%が申請中、17・6%が検討中で、合わせて70・5%が積極的に対応していた。
しかし、登録した企業の登録の理由(複数回答可)は、「インセンティブがあるため」が52・2%、「受注機会を得たかったから」が48・8%と多く、制度の本来の目的である「技能労働者の処遇改善・担い手確保につながる」は27・4%、「現場管理の効率化」は22・0%にとどまった。
登録企業の活用状況(複数回答可)は、「活用していない」が70・8%と大半を占め、「カードタッチを現場管理に活用している」が15・9%、「自社の技能者に対し、カードのレベルに応じて給与などを優遇している」が4・4%、「カードタッチを建退共の電子申請に活用している」が2・9%、「下請企業に対し、カードのレベルに応じた労務単価を見込んで下請代金を払っている」が1・9%だった。
下請企業に対するCCUS加入対策は、前年度より4・5ポイント高い15・5%の企業が行っていた。
CCUSに関する意見では「元請け・下請けともメリットが感じられない」「申請が分かりにくく、時間がかかる」「タッチに対する費用は大きな負担。加入費用も下請企業では負担が大きい」「人手不足で、引き抜きが激化しかねない」といった声が上がった。
提供:建通新聞社