全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)は、会員を対象に行った2022年度の「働き方改革の推進に向けた取り組み状況などに関するアンケート調査」の結果をまとめた。2024年4月から建設業にも適用される時間外労働の上限規制への対応で鍵となる「4週8休」の導入は、前年度より増加したが、現場では約2割にとどまっている。一方、8割を超える企業が直近1年間で職員の賃金を引き上げた。
全会員企業を対象に調査し、21・9%の4130社から回答があった。
全建が働き方改革のため21年度から取り組んでいる「目指せ週休2日+360時間運動」については、すでに導入したり、取り組みを検討したりしている割合が52・8%と半数を越えた。
しかし、週休日が「おおむね4週8休」になっている割合は、事務所は前年度より5・9ポイント増加して54・6%になったが、現場は4・9ポイント増加したものの22・1%にとどまった。現場では「おおむね4週6休」が47・1%と依然として約半数を占めている。
4週8休に向けた取り組み(複数回答)では、「施工の効率化」(78・0%)、「職員の意識向上」(74・1%)、「職員の能力向上」(45・8%)、「ICT等のイノベーション活用」(37・4%)が多かった。
現場での1カ月の平均残業時間は「15時間未満」が51・5%と最多だが、上限規制の原則的な規制対象となる1カ月45時間を超える企業も5・5%あった。
直近1年間での職員の賃金の引き上げは、前年度より4・9ポイント高い84・8%が実施。引き上げの形態別で見ると、55・5%が基本給の引き上げ、7・9%が一時金の引き上げ、21・4%が基本給と一時金の両方の引き上げを行った。
下請けと契約する際の労務単価の直近1年間での引き上げも、前年度より9・8ポイント高い54・8%が行った。
働き方改革の課題では「発注者からの要求事項(書類)が年々増加。業務量が多い」「慢性的な人員不足のため完全週休2日は無理がある」「工期延長のための予算増が必要」「民間建築では、受注競争で短工期になるケースが多い」といった声が上がった。また、有休消化を従業員のマイナス評価の材料とする経営者の存在を指摘、「働き方改革に関する経営者向けの勉強会」が必要だとする意見もあった。
提供:建通新聞社