全国建設業協会(全建、奥村太加典会長)が会員企業に行ったアンケートによると、建設資材価格の高騰を工事の予定価格に事前に反映、あるいは概ね反映している発注機関は、国土交通省が50・5%、都道府県が36・2%、市区町村が25・2%で、市区町村を中心に地方自治体の対応の遅れの指摘が目立った。また、価格高騰の影響を受けている企業のうち55・4%がスライド条項を申請、あるいは申請を予定しているが、47・7%が手続きの煩雑さなど制度に不満を感じていた。
調査は7月〜8月上旬に、毎年行っている品確法の運用指針の運用状況に関するアンケートの中で実施した。47都道府県建設業協会を通じて1341社が回答した。
資材価格高騰の影響を受けている企業は97・8%で、回答企業のほとんどを占めた。高騰している資材(複数回答)については、燃料・鉄筋・生コンが8割を超え、鋼材(鉄筋除く)・アスファルト合材・木材(型枠材含む)が7割台で続いた。
発注機関別で、予定価格に価格高騰を反映していないという指摘は、国土交通省で49・5%、都道府県で63・8%、市区町村で74・9%となった。
影響を受けている企業のうちスライド条項を申請したのは21・1%、申請予定(検討中含む)は34・3%だが、申請を予定していない企業が44・6%で最も多かった。
スライド条項の手続きに関しては、満足が9・4%、やや満足が42・9%を占める一方、28・6%がやや不満、19・1%が不満と回答し、見方が分かれた。
不満・やや不満の回答者からは、手続きの簡素化や、単品スライドで対象となる変動率の1%以下への引き下げ、対象品目の拡大などについて要望が出た。
また、資材価格の高騰によって、50・4%の企業が直近1年で取引先(下請け・資材業者)から契約内容の見直しの要請を受けた。これに対して50・1%が対応、41・9%がほぼ対応した。
高騰する資材価格の価格転嫁に関する発注者への要望では、「高騰の速度が速く実勢価格とのかい離が広がるため、年1回ではなく、数回は見直しをしてほしい」をいう意見が出た。また、「予算がないからスライドの手続きはできないというのはやめてほしい」「スライド条項適用について、前例がないのでできないと監督員から言われた」と、発注者の無理解への指摘もあった。
民間工事に関しては「価格協議が困難。工事価格の増加を理解してほしい」「民間工事の契約約款の改定などを行って、公正に取引できる環境整備をしてほしい」といった意見があった。
提供:建通新聞社