斉藤鉄夫国土交通大臣は9月20日午前に会見し、これまでに判明している台風14号による全国の被災状況を報告した。その上で被害の全容把握と被災自治体の支援に向けて「国交省が有する現場力を最大限発揮し、全力で対応する」とした。大雨による河川氾濫を防ぐため、過去最多となる123のダムで事前放流したことも明かした。
これまでに判明した被災状況によると、土砂災害については、人的被害が発生した宮崎県三股町をはじめ、計9件の報告があったとした。河川では国が管理する太田川など3河川の氾濫により、道路の冠水や農地などの浸水が確認された。
高速道路については、土砂流入により大分道など2路線2区間が通行止めとなっており、現在、復旧作業中。19日時点で被災のあった九州中央道など2路線2区間の応急復旧は完了し、通行止めを解除した。
直轄国道では、鹿児島県垂水市内の国道220号が土砂流入により通行止めとなっている。
鉄道の施設被害は確認されていないが、引き続き点検を進めるとした。
国交省では、被災地にテックフォースを派遣するとともに、防災ヘリコプターなどによる調査も始めている。
ダムの事前放流は、既存ダムの洪水調節機能強化として、2020年に国交省が事前放流ガイドラインを策定。21年8月の大雨では木曽川水系の上流13ダムで事前放流を実施し、牧尾ダムなど五つの利水ダムで約5350万立方bの容量を一時的に確保した。この結果、下流の桃山地点でピーク流量を約2割低減し、沿川の浸水被害を軽減する効果を発揮したと推定されている。
提供:建通新聞社