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2022/09/14

土木学会 22年度「選奨土木遺産」を発表

 土木学会(上田多門会長)は9月12日、大阪市水道創設期及び拡張初期の施設群=写真=など2022年度の「土木学会選奨土木遺産」23件を発表した。支部の内訳は北海道3件、東北2件、関東3件、中部3件、関西9件、中国1件、西部2件で、2000年の設立からこれまでの合計は496件となった。
 選考を担当した選奨土木遺産委員会の天野光一委員長は、「構造物が地域や国にどういう役割を果たすのか、社会にどういう影響を及ぼすのかを考えつつ、その時の最先端の技術と知恵を絞って、合理的で、かつ美しいものを作っていくことが必要」とした上で、「きちんとつくることで社会的にも歴史的にもなる。まちづくりに影響を与えることができるのが土木技術者だ」とメッセージを送った。
 塚田幸広専務理事は「土木構造物は計画の構想から建築、完成、供用、撤去されるまで非常に長い時間を経ていくもの」だと説明。「長い時間の中で行われたさまざまなチャレンジが今の基準に生かされていると思う」と話した。また、今後の土木遺産の活用方法として、バーチャル(仮想)空間での遺産めぐりを検討していることも明かした。
 選奨土木遺産は、貴重な歴史的土木構造物を顕彰することで、社会や土木技術者へのアピールとまちづくりへの活用を促すとともに、貴重な土木構造物の救済・保護などを目的に設立された。対象は交通、防災、農林水産業、エネルギー、衛生、産業、軍事などの土木関連施設で、原則として竣工後50年を経過したもの。
 22年度に認定された遺産と所在地は以下の通り。
 【北海道支部】室蘭港港湾施設群(北海道室蘭市)▽標津橋(北海道標津町)▽旧茂喜登牛水路橋(北海道足寄町)
 【東北支部】福島の石橋群(福島市他)▽丸森橋(宮城県丸森町)
 【関東支部】渡良瀬遊水地(栃木県栃木市他)▽豊海橋(東京都中央区)▽清水谷戸トンネル(横浜市保土ケ谷区他)
 【中部支部】豊川放水路(愛知県豊川市)▽中川橋(名古屋市港区)▽波切の石積構造物群(三重県志摩市)
 【関西支部】揖保川畳堤(兵庫県たつの市)▽大阪市水道創設期及び拡張初期の施設群(大阪市中央区他)▽春日野道桜橋(福井県南越前町)▽高野山森林軌道の遺構群(和歌山県九度山町他)▽南海本線紀ノ川橋梁(和歌山市)▽箱ケ瀬橋(福井県大野市)▽不動川砂防歴史公園の砂防設備群(京都府木津川市)▽摩耶大橋(神戸市中央区他)▽神戸大橋(神戸市中央区)
 【中国支部】翁橋(岡山県津山市)
 【西部支部】山国橋(福岡県吉富町他)▽赤尾木港の岸岐と築島(鹿児島県西之表市)

提供:建通新聞社