国土交通省は9月7日、建設業4団体との意見交換会を開き、国土強靱(きょうじん)化対策などの公共事業を担う建設業界が、「円滑に施工できる体制にある」ことを改めて確認した。出席した元請け3団体と専門工事業1団体のいずれもが「施工余力に問題なし」とした。意見交換ではこの他、「おおむね3%の賃金上昇」の実現に向け、全ての関係者が可能な取り組みを進めていくことも申し合わせた。
施工余力については、予算の繰り越しが増えている現状を捉え、「予算規模が建設業界の工事を引き受ける能力を超えているのではないか」と指摘する一部の報道に対し、斉藤鉄夫国土交通相が4団体に意見を求めた。
日本建設業連合会の宮本洋一会長は「十分な施工余力がある」と言い切り、「会員企業を挙げて公共工事の迅速で円滑な施工に万全を期す」と述べた。併せて、ポスト5か年加速化対策の実現なども要望した。
全国建設業協会の奥村太加典会長、全国中小建設業協会の土志田領司会長、建設産業専門団体連合会の岩田正吾会長も「問題なし」と答えた。
国交省では2023年度概算要求で前年度比1・19倍となる公共事業関係費を要望。雇用環境の改善や担い手の確保のためにも、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を含めた公共事業予算のさらなる確保が必要としている。
一方、賃上げについては「おおむね3%の賃金上昇の実現」を、ことし2月の意見交換で申し合わせたことを改めて確認。技能者の適正な賃金水準の確保に向け、賃金の上昇が労務単価の上昇につながる好循環を維持できるよう「持続的な賃上げに取り組むことが重要」とした。引き続き、官民一体で取り組みを進める。
斉藤国交相はこの他、建設キャリアアップシステム(CCUS)の利用促進にも理解を求めた。具体的には、カードリーダーの設置などに取り組む元請け企業を評価する環境整備や、そうした企業が公共工事の入札で優遇される仕組みを全国的に広げていくため、地方自治体や地元建設業協会にも働き掛けていくとした。
提供:建通新聞社