地方鉄道の在り方を議論する国土交通省の有識者会議が7月25日に開かれた。利用者が少ない路線区間についてバスなどへの転換、運営方式の見直しも含め、国と自治体、鉄道事業者が一体となって、持続可能性の高い公共交通サービスの実現を目指すべきとする提言をまとめた。
提言では、例えばJRの場合、1日当たりの平均旅客輸送人員(輸送密度)の少ない路線区間を対象に、バスやBRTへの転換を含め協議を進めるべきとした。
運営方式については、自治体が鉄道施設を保有し、鉄道事業者が運行を担う、上下分離などへの見直しの検討を促した。
この中で、上下分離による路線存続を目指す近江鉄道(滋賀県彦根市)を例示した。県と沿線10市町が法定協議会を設置、事業スキームの検討を進めている現状を説明し、赤字で苦しむ地方鉄道を再建するための取り組みの好事例とした。
有識者会議は、赤字が続く地方鉄道の在り方を議論するため、国交省が設置した「鉄道事業者と地域の協働による地域モビリティの刷新に関する検討会」。路線の「存続」「廃止」を前提とせず議論を進めている。
25日の会合では委員らが提言案に賛同。その上で「路線の存廃ではなく、地方の交通サービスを改善し地域の活性化につなげていく観点から対策を考えていくことが大切」「具体策の検討では、沿線の自治体と鉄道事業者が協議会を設置して検討するのが基本だが、国も積極的に参加していくべき」などと意見した。
提供:建通新聞社