農林水産省は、ダムや水路など農業水利施設を対象とした機能保全の手引きを改定する。新技術の試行活用から結果の検証、標準化に至るプロセスを整理して記載。ドローンや水中ロボットカメラによる施設点検などの導入を後押しする。2023年2月に改定の最終案をまとめ、農水省の審議会の部会に報告する。
手引きの対象となるのは、ダムや頭首工、用排水機場などの「基幹施設」(7656カ所)と「基幹的水路」(総延長5万1472`)。
20年時点で基幹施設数の55%、基幹水路延長の43%が既に耐用年数を超過している。今後はさらに老朽化の加速が見込まれ、突発的な事故の発生も増加傾向にあるため、手引きの見直しにより機能保全の効率性を高める。
見直しの方向性としては、新技術の導入推進の他に、施設の補修・利用や診断の情報を関係する民間事業者や国民にも公開するとの方針を盛り込んだ。関係する情報を収めた農業水利ストック情報データベースのうち、公開しても問題ない範囲を今後検討する。
さらに、土地改良施設管理の「ダム編」も改定する。省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用促進に関する記載を追加。豪雨の際に柔軟に施設を操作できるようにする。
提供:建通新聞社