2022/07/26
第16回建設トップランナーフォーラム(2)
日本建設技術(佐賀県唐津市、原裕社長)は、ガラス廃材をリサイクルした多目的環境材料「ミラクルソル」を開発し、廃棄物を建設分野で有効利用する「低炭素建設技術」として、土木や緑化、水質浄化など28工法を提案している。原社長はこのうち、高木瀬ふれあい公園(佐賀市)やSAGAサンライズパーク(同)で施工し、実証試験を行った『FWG透保水性舗装工法』の特性を紹介した。
1995年から約2年間で開発したミラクルソルは、空き瓶などのガラス廃材に発泡剤を混ぜ、約900度の高温で焼成したリサイクル製品。軽量で強固な特徴を持ち、製造条件によって吸水性と非吸水性を調節できる。
同社では、このミラクルソルを使って、軽量盛土、透保水性舗装、斜面や屋上の緑化、水質浄化など、地球環境の負荷低減に向けたさまざまな工法を展開。全国で施工事例を増やしている。
原社長は「毎年、大気中に約40億dもの二酸化炭素が蓄積し、地球温暖化や気候変動が起こっている。自然環境への負荷を減らす取り組みを建設業でも進める必要がある」と話した。
環境土木技術のFWG透保水性舗装工法は、吸水性のミラクルソルを歩道部などの路床や路盤材に用いることで、舗装に保水機能を付加したもの。舗装部において保水した多量の水分が晴天時に気化することで、夏場における路面や周辺地域の温度上昇を抑え、ヒートアイランド現象や地球温暖化の緩和に貢献する。
高木瀬ふれあい公園の実証試験では、朝方に降雨(午前6時に約20_、午前7時頃に約12_)のあった2021年9月2日の観測で、非透水性舗装の従来工法と比較して最大で約8度の温度低下(午前10時頃)を確認。ミラクルソルの保水効果により、気化熱で水分を大気中に発散し、周辺の温度を下げたことが分かった。
SAGAサンライズパークでは、ミラクルソルの吸水柱(直径約10a、長さ約2b)を設置し、地下水を吸い上げるFWG透保水性舗装工法の試験施工を実施。2022年6月9日の測定で、最大約13度の温度低下を確認した。
原社長は「一旦雨水を貯留し、ゆっくりと地表に排出するFWG透保水性舗装工法は、環境にやさしいグリーンインフラ。歩道や駐車場の温度を下げ、自然環境への負荷を低減する」と述べた上で、「これからもガラス廃材を使ったミラクルソル工法をPRしていく。コロナ禍が終わったら、マスクを外して、FWG透保水性舗装工法を施工した緑の中を歩きたい」と結んだ。(地方建設専門紙の会・建設新聞社/長崎)