日本建設産業職員労働組合協議会(日建協、角信也議長)は、2022年賃金交渉結果の中間報告を発表した。月例賃金については、加盟する35組合のうち、7月6日の時点で31組合が妥結。このうち基本給を引き上げるベースアップ(ベア)を獲得した組合は24組合に上り、10組合では要求を上回る水準の回答があった。日建協では、この結果を「異例」と指摘。賃上げ実施企業に対して総合評価落札方式で加点する政府の政策に対応するため、多くの企業でベアが実施されたとみている。
月例賃金は、定期昇給を含め、妥結した31組合全てが前年実績以上の水準を確保した。
24組合であったベアの単純平均は前年比1・43%増の5323円(35歳平均、以下同)、加重平均は1・09%増の3923円。定期昇給とベアを合わせた昇給額は、単純平均1万4109円(前年比3・49%増)、加重平均1万3842円(3・00%増)で、総合評価で政府が加点の対象とする3・0%の賃上げをクリアする水準となっている。
一時金は29組合が妥結。前年と比べ16組合が増額、5組合が同額、8組合が減額の回答だった。単純平均で4・83カ月(加重平均5・15カ月)となっている。
[初任給引き上げ拡大]
初任給は14組合で引き上げられた。要求したのは2組合で、いずれも要求が通った。さらに12に上る組合で会社側から引き上げが提示された。このうち10組合は、日建協が標準ラインとする24万円を上回る額への引き上げで、1組合が25万円、9組合が24万5000円を示した。日建協では「21年度末に大手が発表した初任給の引き上げに対して、人材獲得のため、追随する動きが如実に表れた」としている。
今回の賃金交渉結果について日建協は「社会情勢や企業業績よりも、政府の政策によって賃上げの大きな流れがつくられた」とする。来期に向けて「賃上げ政策や運用を注視するとともに、足元の物価高に対応していく」方針でいる。
提供:建通新聞社