鹿島と京都大学(大学院総合生存学館SIC有人宇宙学研究センター)は、月や火星に人類が移住するための人工重力居住施設の共同研究に着手することで合意した。食料やエネルギー、医療、法律など、宇宙での生存に必要な技術や社会基盤に関する研究も行う。
地球と比べた重力は、月は6分の1、火星は3分の1しかない。月や火星に人類が移住した場合、低重力の環境では子供は正常に成長できず、成長しても地球では立てない体になると予想される。移住者が安心して出産し、いつでも地球に帰還できる体をつくるためには地球と同じ1Gの重力が必要になる。
今回の研究では、天体の重力に、施設の回転によって発生する遠心力を加えて1Gの重力を得ることを想定している。人工重力施設「ルナグラス」「マーズグラス」として開発する。
惑星間の長期間の移動に対応する人工重力交通システム「ヘキサトラック」も研究する。進行方向を軸に回転しながら移動することで機内に重力を発生させる。
また、宇宙で衣食住や社会生活を成り立たせるために必要な技術や制度に関する研究を、宇宙移住の基幹学問体系として確立する。この学問体系を、地球の環境保全や社会形成にフィードバックすることも目指す。
今回の研究を通じ、宇宙生活の課題と解決方法を社会に知らせるとともに、地球環境の重要性への認識を喚起し、宇宙を含めた持続可能な社会の構築にも寄与するとしている。
提供:建通新聞社