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2022/07/07

物価高騰で上方修正、実質はマイナス

 建設経済研究所と経済調査会は7月6日、2022年度の建設投資見通しをまとめた。22年度の建設投資総額(名目値)を前年度比3・1%増となる62兆7600億円と見込んだ。4月推計を2・6ポイント上回り、7800億円上方修正した形だ。一方、物価高騰分を反映しない実質値では1・8%減の52兆8824億円になると推計。名目値と実質値の前年度比が4・9ポイントも開くのは近年例がないという。急激な物価高騰が背景にある。
 建設投資の名目値を項目別に見ると、政府建設投資が前年度比1・5%増(23兆0400億円)、民間住宅投資が2・4%増(16兆4400億円)、民間非住宅投資が6・7%増(17兆0900億円)、民間建築補修が1・8%増(6兆1900億円)と全ての項目で増加を見込んだ=グラフ参照。
 このうち政府建設投資では、20年度第3次補正予算の一部が22年度に出来高として実現すると想定。防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策なども前年比増の要因とした。
 民間住宅投資では、貸家の着工戸数を0・9%増の33万戸と推計。貸家については空室率が改善傾向にある他、コロナ禍での投資に対する不安が解消されつつあり、海外からの投資意欲も高まっているとした。
 民間非住宅投資では、コロナ禍で需要が拡大した倉庫・物流施設だけでなく、社会経済活動の正常化に伴い工場などの設備投資も堅調に推移すると予測。事務所は、21年度に大型案件が相次ぎ着工したことによる反動減で20・5%減となるが、再開発案件が多数控えており、23年度には持ち直すと推測する。ホテルや店舗はインバウンドの回復でコロナ前の水準に戻るとした。
 民間建築補修投資では、コロナ禍での巣ごもりによる生活空間のリフォームニーズが引き続き高まっていくと予想した。
 一方で、建設投資の実質値を項目別に見ると、民間非住宅建設投資を除く全ての項目がマイナスになると予測。建設経済研究所の担当者は、「名目値と実質値でこれほど差が開くのを近年見たことがない。建設投資の推移を数量的に把握するためには実質値をしっかり見ておく必要がある」とした。
※名目値は、実際に市場で取引されている価格に基づいて推計された値。実質値は、基準年からの物価の上昇・下落分を取り除いた値。名目値では物価変動の影響を受けるため、建設投資の推移を数量的に把握するには、これらの要因を取り除いた実質値で見る必要がある。

提供:建通新聞社