国土交通省は、公共工事設計労務単価の算定の基礎資料とする「公共事業労務費調査」について、オンライン方式での調査を試行的に行う。簡易な入力ミスも自動で判別できるようにし、受発注者双方の業務効率化につなげる。今回の調査では、元請けから技能者に直接支払われるような、下請けの賃金台帳に掲載されない手当の支給額も新たに把握する。
労務費調査は国交省と農林水産省が毎年10月に実施している。両省発注の公共工事から約1万工事を無作為に抽出。工事に従事する技能者約11万人に支払われた労務費を把握し、次年度の公共工事設計労務単価設定の基礎資料としている。
昨年度は新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、一部対面調査を残しつつも、原則書面調査で調査票を回収した。本年度も原則は書面調査(一部対面調査)とする一方で、オンライン方式を試行する。一部の調査票の提出・管理・審査をシステム上で行い、調査業務を効率化する。
オンライン方式の試行対象工事は国、都道府県、政令市、独立行政法人などの発注機関で構成する地方連絡協議会が9月上旬に選定する。約1万工事から約100工事を抽出し、それぞれ下請けを含む受注者にオンライン方式で調査表の作成、提出を求める。
試行に当たっては対象工事選定後に説明会も開催。オンライン方式での提出方法などを周知する。
また、元請けから技能者に支払われる手当の支給額については、新たに項目を追加、記入を求める。元請けが建設キャリアアップシステム(CCUS)の技能レベルに応じて技能者に手当を支払う事例が増えており、支給額をより正確に把握し、労務単価に反映させる。
元請けによってはこうした手当を技能者に直接、支給しており、下請けの賃金台帳に支給実績が記載されず、実態がつかめなかった。
提供:建通新聞社