国土交通省は、生コンクリートの管理帳票類を電子化し、受注者らの現場業務を効率化する。直轄工事で試行することを決めた。2022年度は関東地方整備局発注の一部工事で試行。23年度に試行範囲を広げた上で、実施要領を作成する。その後ガイドラインなどもまとめ、24年度から直轄工事で本格導入する。自治体や民間の発注工事での適用も促していく。
電子化の対象となる生コンの管理帳票類は、JIS生コン伝票、コンクリート配合計画書、現場施工管理などの書類。
関東地整では、既契約工事を含む複数案件での試行を予定。8月ごろに対象工事を選び、順次スタートする。
試行現場では、工事の受注者が商社を通じて生コン工場に電子化システムの導入を促していくことになる=イメージ図参照。受注者側ではシステムにログインするためのID登録などが必要になる。
生コンの管理帳票類の電子化について
は、日本建設業連合会などが参加するコンソーシアムが、PRISM(プリズム)を活用し、「クラウド共有型コンクリート品質管理システム」を開発。生コンの製造から運搬、受け入れ、施工、品質管理までのデータを電子化しクラウド上に保存できるようにした。
現状、生コンの材料、出荷数量、品質などのデータは、出荷伝票として生コン供給者から紙データで建設現場に持ち込まれる。施工者は、データを帳票類や日報に手入力する。紙ベースで保存することが一般的となっている。
システムを使えば、全データがクラウド上に保存されるため、生コンの供給者、工事の受注者、発注者の3者がリアルタイムに管理帳票類のデータを閲覧・利用することが可能となる。搬出・搬入時間などの電話での調整・確認作業や日報の作成など、生コン供給者と受注者双方の手間が大幅に改善される他、受発注者間の確認・検査業務も効率化できるという。
官民研究開発投資拡大プログラム(Public/Private R&D Investment Strategic Expansion PrograM、通称・PRISM)は、新技術の創出につながる官民研究開発投資の拡大やスタートアップへの投資増大を目指し、18年度に創設された内閣府の支援制度。
提供:建通新聞社