国土交通省は、排水ポンプなど河川機械設備の保全の在り方について、小口化などにより冗長性(リダンダンシー)を確保すべきとする提言案をまとめた。6月24日に開いた河川機械設備小委員会で提示。現行の予防保全と事後保全に加え、新たな保全手法として「冗長化保全」を位置付ける。
冗長化保全では、排水ポンプを小口化・規格化するとともに、冗長性を確保するため「必要数+1台」の排水ポンプを設置する。例えば、これまで1秒当たり10立方bの排水能力が求められる排水機場で、1秒当たり5立方bの排水ポンプ2台を一品・特注生産により設置してきた。これを小口化・規格化することで、1秒当たり1立方bの排水ポンプを10台設置し通常必要な能力を確保する。さらに、予備の排水ポンプ1台を配置しておく。
計画排水量に対して小口化したポンプを複数台整備することで、故障時などに、システム全体が一度に機能損失するリスクを低減する。気候変動への対応、維持管理・運用の省力化、故障時の迅速な復旧にもつながるという。
提言案では設備の長寿命化にも言及。必要に応じて職員が実施している設備の点検・診断を、エンジニアリング技術を有する専門の技術者が行うようにすることや、計画的に診断できる実施体制の確立が必要とした。
維持管理の効率化ではBIM/CIMの活用、担い手不足への対応では、比較的小規模な樋門・樋管でのフラップゲート導入による無動力化などを進めるべきとした。
■ひとくちメモ
冗長化は、設備の障害が発生した場合でもシステム全体の機能を維持し続けられるよう、予備設備を平常時から配置・運用しておくこと。
提供:建通新聞社