国土交通省は、「粘り強い河川堤防」対策で、越水に対する堤防強化(対策工法)の技術開発の進め方について議論を始めた。対策工法は表面被覆型など三つの構造を想定。2022年度中に民間企業から開発技術を公募・選定する。23年度以降、小規模試験施工を実施し、対策工法の性能を検証する。性能評価は第三者機関が行う。
対策工法の構造は、堤防表面にシートやコンクリートブロックを設置する「表面被覆型」、鋼矢板と天端舗装で越水に対する性能を確保する「自立型」、周辺の堤防との複合体として性能を確保する「その他」のいずれかを想定する。
技術公募に当たっては、求める性能、公募条件を提示。第三者機関で技術提案資料を確認し、対策工法の基本的な機能、越水に対する性能・信頼性、コスト、耐久性、安定性、復旧のしやすさを評価する。第三者機関は22年度中に設置する。その後、小規模試験施工に入る。将来的には対策工法のカタログ化も検討する。
現時点で越水に対する粘り強い河川堤防の技術は、効果に幅や不確実性がある。必要となる性能を評価し、設計できる段階にも至っていないとされる。
「粘り強い河川堤防」は、越水により堤防が決壊するまでの時間を少しでも長くする、減災効果のある粘り強い構造の河川堤防を整備する国交省の取り組み。19年東日本台風では決壊142カ所のうち122カ所が、越水が要因での決壊だった。
5月20日に開いた「河川堤防の強化に関する技術検討会」で論点と検討スケジュールを提示した。
提供:建通新聞社