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2022/05/19

不可抗力の損害 発注者が全額負担へ

 国土交通省は、災害復旧工事中の不可抗力による損害について、発注者が全額を負担することを決めた。公共工事標準請負契約約款を改正し、5月18日に中央建設業審議会の柳正憲会長名で公共発注機関に勧告した。今夏に直轄工事での運用を固め、自治体に通知。2023年1月の施行に備える。
 公共工事標準請負契約約款上、公共工事では、不可抗力による損害発生時に、受注者が請負代金の1%を負担し、それを超える部分を発注者が負担することとしてきた。
 ただ、近年、豪雨などの自然災害が各地で相次いでおり、災害復旧に当たる建設業者が増水した河川で作業を強いられるなど、二次災害にさらされる危険性が高くなっている。
 このため国交省では、公共約款上、災害復旧工事中の二次災害による損害は「発注者の責めに帰すべき事由に該当しない」と整理する一方で、災害が頻発・激甚化する中、「災害復旧を円滑に進めるためには、受注者負担の軽減により、災害復旧工事を受注しやすい環境を整えることが不可欠」とし、受注者の負担をなくし、円滑な復旧作業を後押しすることとした。
 2年前の長野県による依田川の災害復旧工事では、工事中に豪雨による異常出水があり、工事目的物が被災。請負金額3億2237万円の1%となる322万円を受注者が負担している。
 建設業団体からは、「地域の建設業にとって受注者の1%負担は非常に厳しい」といった声が上がっていた。

提供:建通新聞社