全国中小建設業協会(全中建、土志田領司会長)が、人材確保・育成対策などを課題に、「新担い手3法」への発注者の対応状況に関して会員企業にアンケート調査を行ったところ、「適正な工期の設定」や「適切な設計変更」「最新の積算基準の適用」について、「適正ではない」とする工事がいずれも約7割を占めた。国と比べ、地方自治体での対応の遅れが依然として目立った。
アンケートは会員約2330社に対して2021年9〜11月に実施。回答率は31・7%だった。
工期の設定について、「適正である」とした工事の割合は28・1%で、「適正でない」が71・9%を占めた。「適正でない」割合は、1年前の同じアンケート結果と比べ3・9ポイント減ったものの依然として多かった。また、国の「適正でない」割合は59・0%なのに対して、都道府県では72・4%、市町村では75・4%を占めた。
また、「適切な設計変更」では、「適正である」工事が31・4%なのに対して、68・6%が「適正ではない」とされた。前回と比べた改善は1・4ポイントにとどまった。市町村での「適正である」割合は23・7%しかなく、国の60・2%と大きな差があった。
予定価格の設定では、「適正である」工事が42・7%、「適正でない」工事が57・3%。前回と比べた改善は1・2ポイント。「適正でない」割合は市町村で65・3%と高かった。
最新の積算基準の適用について、「適正である」は31・5%、「適正でない」は68・5%。この割合は前回調査と変わらなかった。
また、低入札価格調査基準価格の設定では、「適正である」が39・9%、「適正でない」が60・1%。これについては、前回と比べ1・8ポイント悪化した。
新担い手3法が規定する発注者責任の発注者(担当者)の理解では、「担当者まで理解している」が56・0%、「理解していない」が44・0%。前回より5・3ポイント改善したが、依然として理解が半数に達していない結果だった。
提供:建通新聞社