国土交通省が原油・資材価格高騰の建設業への影響を調べたところ、受発注者間契約の25%で、「物価変動に基づく契約変更条項」(いわゆるスライド条項)に基づく契約変更を「受け入れてもらえない」状況だった。契約書にスライド条項が盛り込まれていない受発注者間契約も約15%あった。高騰する資材価格への対応で、国交省はスライド条項の適切な運用を発注者や建設業団体に促しているが、一層の周知が必要と言えそうだ。
資材価格高騰に伴う契約金額変更の申し出を行った場合の発注者の対応について、元請けの59%が「受け入れてもらえている」とする一方、25%が「受け入れてもらえない」と回答=グラフ参照。特に民間工事については、理解を示す発注者もいるものの、実際に契約変更に至るケースは少ないという。
また、民間工事では、元請けの3割近くが「下請けから申し出があっても発注者に相談していない」と回答。発注者に言いづらい雰囲気がある。
さらに、受発注者間契約で、元請けの15%が「契約書にスライド条項が盛り込まれていない」とも答えた。うち6%は「公共では盛り込まれているが、民間では盛り込まれていない場合がある」とした。
スライド条項が盛り込まれていない理由については、「施主に物価上昇を説明しても受け入れてもらえず、契約書に明記できない」「民間発注者では『物価変動リスクは請負者負担』という考え方が根強い」などが挙がった。全体的に民間工事で資材価格高騰への対応が進んでいない状況が見えた。
元下間の契約でも、10%の回答者が「スライド条項が盛り込まれていない」とした。
同調査は、完成工事高上位の建設業者数十社を対象に実施。公共・民間工事での資材や原油の価格高騰による影響について、支店・現場所長らにヒアリングした。調査期間は1〜3月。
提供:建通新聞社