国土交通省は、4月26日に政府が打ち出した物価上昇の緊急対策を受け、建設業での取り組みを進める。急騰する原材料費などの取引価格を請負代金に反映するため、同日付で、公共工事と民間工事の発注者や建設業団体に、スライド条項を適切に設定・運用するよう求めた。公共発注者には、市場の最新単価を把握し、適切に積算に反映することも促した。
物価上昇の緊急対策は、コロナ禍での「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」として、26日に政府が開いた関係閣僚会議で決定した。原油価格高騰への対応やエネルギー、原材料、食料の安定供給対策の他、物価高騰の影響を受ける中小企業への支援策などが盛り込まれた。
建設業では、原材料費などの取引価格を反映した適正な請負代金の設定と工期の確保について、公共・民間発注者や建設業団体に周知徹底することとした。
国交省は、こうした賃上げ・価格転嫁につながる取り組みが円滑に進むよう、建設工事標準請負契約約款にある契約変更規定(いわゆるスライド条項)を適切に設定・運用するよう、公共・民間発注者や建設業団体に同日付で要請。民間の契約約款にも同様の規定があるとした。
発注者と元請けに対しては、契約締結後でも受注者や下請けから、原材料などの高騰を受けた契約変更の申し出があった場合、適切に協議に応じるよう促した。
この他、国、自治体などの発注機関には、原材料費の最新の取引価格を積算に反映するため、最新の物価資料を利用するよう周知。独自に価格調査を実施している場合は、調査の頻度を増やすよう求めた。併せて、できる限り入札日に近い最新単価を用いることとした。
緊急対策では、価格高騰の影響で公共事業の執行が滞ることがないよう、入札契約手続き期間の運用を見直し、前倒しで執行する方針も示している。
政府は、緊急対策で新たな財源措置が伴うものについて予備費で対応するため、予備費の計上と燃料油価格の激変緩和事業による補正予算を今国会に提出し成立を目指す。
価格転嫁の相談は、国交省が「建設業フォローアップ相談ダイヤル」で受け付けている。電話番号は0570(004)976。
提供:建通新聞社