建設現場の一人親方などに対し、労働者と同等のアスベスト対策を講じるよう事業者に求める労働安全衛生規則の改正省令が4月15日に公布された。これに合わせて厚生労働省は、建設業を含めた関係団体に周知徹底するよう通知。2023年4月1日の施行に向けて、安全確保のための設備の使用や適切な作業の周知、立ち入り禁止場所の表示といった対策の実施を事業者に求めていく。
省令改正は、建設アスベスト訴訟の最高裁判決を踏まえたもの。この訴訟では石綿へのばく露による健康障害からの保護措置を労働者のみに限定していたことを問題視し、一人親方など労働者以外も保護対象に加えるよう求めていた。
改正省令では、石綿に関する業務・作業を請け負わせる事業者に対し、請負人に労働者と同等の保護措置を講じる義務を課す。同じ場所で他の業務に従事する一人親方の保護も義務化する。
具体的には▽局所排気装置などの換気設備の設置・稼働▽保護具の保管や汚染の洗浄設備の使用▽潜水業務・高圧室内業務での設備設置―などについて配慮義務を新設。
作業時の健康障害防止規定も改正。適切な作業方法や保護具の使用、汚染の除去などを労働者以外にも周知する義務を設けた。
危険な場所への立ち入り禁止・退避や、有害物に関する掲示義務についても労働者以外を保護する規定を整備した。
こうした配慮義務や周知義務は、重層請負関係の中で上位の事業者が契約を直接結んでいる下位の事業者に対して負う形になる。
提供:建通新聞社