国土交通省は、2021年度の業務に関する運用指針調査の結果を公表した。調査結果を見ると、ダンピング対策では、約半数の市区町村で低入札価格調査基準制度・最低制限価格制度が未導入となった。今後、未導入の自治体を明らかにするなど「見える化」し、制度の導入促進につなげる。履行時期の平準化については、国の機関の業務の8割以上で第4四半期に履行期限が集中していることが分かった。
ダンピング対策は、測量、建築コンサルタント、土木コンサルタント、地質調査の4業種全てで「低入札価格調査基準制度・最低制限価格制度を未導入」と回答した発注者が、国で1機関、特殊法人で39機関(前回調査42機関)、都道府県で1団体、市区町村で853団体(895団体)となった。
14年の品確法改正以降、国、都道府県、政令市で導入が進んだが、市区町村(未導入率49・6%)と特殊法人(31・5%)で対応が遅れている。
国交省では、自治体ごとに低入札価格調査基準制度・最低制限価格制度の導入・未導入を明らかにするとともに、導入済みの自治体の取り組み状況を共有。導入が遅れている自治体に対してダンピング対策の働き掛けを強める。
履行時期の平準化は、納期が年度末に集中することを避けるため、納期が1年を通して均等に設定されているかを発注者別に調査。第4四半期に納期を設定していた業務の割合が最も高かったのは国で83・4%に上った。
この他、政令市で69・6%、都道府県で64・2%、市区町村で58・7%、特殊法人で55・6%の業務が第4四半期の納期となっていた。
入札方式の導入状況では、プロポーザル方式について、国、特殊法人等、都道府県、政令市で7割以上、市区町村で半数近くが導入していた。一方で、プロポーザルと総合評価の発注実績は、制度の導入が進んでいる都道府県や政令市でも1割程度にとどまった。
国交省は今後、発注者協議会や監理課長等会議、都道府県公共工事契約業務連絡協議会(都道府県公契連)を通じて、各発注機関と調査結果を共有し、発注関係事務の改善に向けた取り組みを進めるとしている。
運用指針調査の対象機関は国(19機関)、特殊法人等(124法人)、地方自治体(47都道府県、20政令市、1721市区町村)。21年7月1日現在(一部20年度末時点)の状況を調べた。
提供:建通新聞社