新設電柱(電力柱と電信柱)が1年間におよそ4万5000本のペースで増えていることが分かった。電信柱は減少傾向にあるものの、それを上回るペースで電力柱が増えていた。資源エネルギー庁などが新設電柱の実態を初めて調べた。調査結果を踏まえ国土交通省など関係機関は、新設電柱抑制の対応方策案をまとめた。4月12日に開いた「無電柱化推進のあり方検討委員会」で提示した。
新設電柱の実態調査は、資源エネルギー庁と総務省が新設電柱の増加要因を調べるために、2021年度第1〜3四半期に実施した。
無電柱化法では道路上に新たに電柱を設置しないよう規定している。にもかかわらず、実態調査によると、電力柱は新設10万6000本、撤去6万6000本で差し引き4万本が増加。電信柱は新設6万1000本、撤去6万8000本で7000本が減少したものの、電力柱の増加数が大きく上回り、電柱全体で3万3000本の増加となった。
四半期の平均値から年間本数を割り出すと、およそ4万5000本の増加となる。これを用途別にみると、住宅など個別の供給申し込みによるものが全体の8割を占めた。うち1戸〜数戸規模の住宅建設に伴う新設電柱が2万6000本、数戸〜数十戸規模の住宅建設で1万本となった。
こうした現状を踏まえ資源エネルギー庁は、宅地造成時に上下水道の整備と併せて、電力管路を設置する新たな施工方法を、新設電柱抑制の対応方策として提案した。通常、宅地造成時に住宅の詳細設計はまとまっていない。このため電力管路の引き込み線の場所が確定できず、上下水道の整備と同時に電線管路を整備できない。
新たな施工方法では、水道と同様にあらかじめ電線管路の引き込み地点を決めておくことで、水道管路と同時に電線管路を整備できるようにする。引き込み地点には電柱に代わり低圧分岐装置(LB)を設置する。
資源エネルギー庁では今後、開発事業者やライフライン事業者と協議・調整し、23年度をめどに先行事例を具体化。順次、普及拡大を目指す。
道路整備時の無電柱化では国交省が、事前埋設手法による電線共同溝整備を提案。将来の電力需要が見込まれるのであれば、当面の電力需要が明確でなくても、電線共同溝を整備できるようにする。対象は郊外の緊急輸送道路。これまで電力需要が明確でない場合、ケーブル本数が定まらず設計書を作成できないため、電線共同溝を整備してこなかった。
国交省では、22年度中に事前埋設を可能とするガイドラインを作成し、関係者に通知する。
提供:建通新聞社