全国銀行協会(全銀協)の調査によると、2021年の手形交換枚数は全国で約2718万枚となり、前年から約15%(約510万枚)減った。当初目標の約536万枚より減少幅が小さかったため、今後はさらなる利用縮小に向けて、産業界との対話や電子記録債権など代替的な決済手段の普及を促す。手形交換所での取り扱いを26年に廃止することも検討していく。
全銀協は政府の手形利用の廃止方針を受けて、21年に手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた自主行動計画を策定。今回、初めて各金融機関での取り組み状況をまとめた。
手形の交換枚数が減少した一方、電子記録債権の発生件数は458万件となり、28%増えた。特に資本金2000万円未満の中小企業個人事業主では36%の大幅増だった。
金融機関の取り組み状況を見ると、電子記録債権などの決済サービスへの移行を促すため、利便性向上に取り組んでいる機関は約87%を占めた。また、手形から他の決済手段への移行に際して企業の資金繰りが悪化することのないよう、でんさいの割引や独自の融資商品の新設に取り組む機関もあった。
21年度には、建設業や建材・住宅設備を含む6業種の団体と全銀協とで意見交換も実施。重層下請け構造の業界では、2次・3次下請けの電子化対応が困難なため、浸透策が重要になるとの意見があった。受注者側のみに手形廃止のしわよせが及ばないよう、発注者側への対応を求める声も出た。
提供:建通新聞社