国土交通省・総務省・財務省は、全ての公共工事の発注者を対象とした、入札契約適正化法に基づく実施状況調査(2021年10月1日時点)の結果を発表した。低入札価格調査基準価格の算定式に最新の中央公契連モデル(調査時は19年モデルが最新)を採用する市区町村が増える一方、法定福利費の内訳明示の取り組みを実施している市区町村が2割にとどまるなど、ダンピング対策は道半ばにある。
入契法に基づく同調査は、国交省、総務省、財務省の3省が全ての公共工事の発注機関を対象に実施しているもの。今回の調査には、国19機関、特殊法人など124法人、地方自治体1932団体(47都道府県、20政令市、1721市区町村)が回答した。
法定福利費については、請負代金内訳書で法定福利費の内訳を確認していた団体が、国関係で16団体(84・2%)、都道府県で34団体(72・3%)、政令市で12団体(60・0%)に上った。一方、市区町村では8割近い団体(1306団体)が確認していなかった。
建設業法に基づく建設工事標準請負契約約款では、請負代金内訳書に法定福利費を内訳として明示することが定められている。
国交省では、ダンピング受注を未然に防ぐための取り組みの一環にも位置付け、自治体に対して、請負代金内訳書に内訳明示されているかを必ず確認するよう要請している。
ダンピング対策ではこの他、低入札価格調査基準価格の算定式を、19年中央公契連モデル以上または同モデル相当の水準とする地方自治体が増加。都道府県と政令市でそれぞれ100%、市区町村でも74・6%の採用率となった。
ただ、市区町村では制度自体を導入していない団体も多く、最低制限価格とともに、ダンピング対策としての制度への理解と浸透が急がれる。
一方で、自治体での低入価格調査対象工事の施工確保措置「かきくけこ」の実施状況を調べたところ、国交省が低入札時の施工確保措置で実施するべきとする「監督検査の強化(か)」や「技術員の増員(き)」など五つの取り組みのいずれも実施していない市区町村が3割近くあることも分かった。
また、工期を設定する上で、公共工事に従事する技術者・技能者の休日に考慮していると回答した市区町村は、前回調査より増加したものの、758団体(44・0%)と5割にとどかなかった。
設計変更ガイドラインについては、都道府県と政令市で全団体、市区町村で約6割(1027団体)が策定済みとなった。一方で、策定済みの団体のうち、都道府県で4割、政令市で6割、市区町村で7割が、特記仕様書にガイドラインについて記載しないなど利用していなかった。
提供:建通新聞社