国土交通省は、前払金保証契約の保証証書の電子化について、5月から直轄工事で導入する。受注者から発注者へ保証証書を郵送や持参する必要がなくなり、ペーパーレスによる事務負担の軽減、業務の効率化が期待できる。導入に先立ち4月から試行を始める。
公共工事の前払金保証事業の保証証書は、受注者が保証会社に契約を申し込んだ後、保証会社が保証証書を書面で発行し受注者に送付。その後、受注者が発注者に郵送・持参している。
電子化では、北海道、東日本、西日本の3保証会社がそれぞれ整備・運営するプラットフォームに電子証書をアップロードし、保管する。アップロードに併せて受注者には保証契約番号と認証キー(暗証番号)が送付される。受注者は、電子契約システムなどを通して発注者に保証契約番号と認証キーを提出することで、発注者はプラットフォームにアップロードされた電子証書が閲覧できるようになる=図参照。
電子化により、保証会社は紙の保証証書を発行する必要がなくなる。受注者にとっても、発注者に保証証書を郵送や持参する手間が省略できる。
直轄工事での導入に当たり国交省では、3月14日に開いた中央建設業審議会(中建審)の総会に、電子化に伴って必要となる公共工事標準請負契約約款の改正案を諮り、了承を得た。
これまでの公共約款では、受注者が前払金の保証証書を書面で提出(寄託)することと規定していた。約款を改正し、電子証書でも寄託したとみなすようにした。中建審は3月14日付で国交省、都道府県を含む公共工事の発注機関と、建設業団体に対して、改正内容の実施を勧告。4月1日から施行する。
改正約款では、契約保証にかかる履行保証保険契約の保険証券についても電子化を認めることとしたが、保険証券については当面、PDFで発行した保険証券データを電子メールで送付する暫定的な運用になる。
提供:建通新聞社