国土交通省は、設計・施工データを受発注者が共有するためのシステムを新たに整備する。データ活用を現場の生産性向上につなげる狙いがある。3月4日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産システムのあり方に関する懇談会」で提示。2022年度以降、さらに議論を深め、早期具体化を目指す。受発注者の業務効率化にもつなげる。
受発注者間のデータ共有では、受発注者が事業単位で設計・施工データを地図上で閲覧できるシステムを、国土技術政策総合研究所のDXデータセンターに構築する。電子成果品の検索時間の短縮や設計の手戻り防止につなげる。22年度中に簡易版の運用を始める。
工事単位のデータ共有も検討。受注者がASPやクラウドで管理している工事帳票や測量のデータを、協調領域(ICTプラットフォーム)を通して、行政側でも共有できるようにする。
さらに、DXデータセンターに入札契約データの管理・集計システムを構築。地方整備局などの工事契約管理システムとAPI連携し、過去20年程度の調達案件データを保管・蓄積する。国交省の職員による調達案件情報の収集・分析に役立てる。
この他、直轄土木工事の積算システムを改良。職員が手作業で入力している設計成果を自動で入力できるようにする。自動入力により計算ミスの防止や作業日数の縮減など、行政側の省力化が期待される。
BIM/CIMが活用されるようになり、建設生産・管理のプロセス(調査・計画・測量、設計、工事、管理)ごとにデータ収集が進んできた。今後は、こうした個々に収集したデータの活用・分析を進め、生産性の向上につなげるため、プロセス間を3次元データで連携するシステムの構築につなげる。
提供:建通新聞社