国土交通省は、重量物を輸送できる高ペイロードドローンなどの建設現場への導入を目指す。直轄事業の現場などで行う実証案を固め、「行政ニーズに対応した汎用性の高いドローンの利活用等に係る技術検討会」に示した。今後、2〜3月に2021年度分の実証実験を行う。3月に開催する次回会合で、実証結果を検証。引き続き、22年度にも実証実験を進め、早期の現場導入を実現する。
実証案によると、ダム現場などでのドローンによる建設資材の輸送や、悪天候時の構造物の点検などをユースケース(利用場面)と想定し、全国6地区で実証実験を行う。実証現場は東京都江東区、東京都江戸川区、川崎市、大阪市、高知県香南市、高知県宿毛市。
使用機材は物資輸送で、PF2(ACSL)、高ペイロードドローン(Pro Drone)、E6106FLMP(EAMS)、TSV RQ1(東光鉄工)の4機種、点検・観測で、蒼天(ACSL)、PD4XA1(Pro Drone)、Airpeak(sony)の3機種を予定している。
このうち高ペイロードドローンは、国交省が民間の産業用ドローンシステムメーカーと開発中のドローン。内燃機関と電動機によるハイブリッド型動力源を搭載し、一度に50`の重量物を運ぶことができるという。1回の飛行可能距離は50`。現在国交省で活用しているドローンでは重量5`の運搬が限度となっている。
実証実験では、業務の受託事業者と、講習を受けた国交省の職員、測量事業者が各ユースケースで、ドローンを操作し、標準的な性能規定を定めるために必要なデータを取得。取得したデータの精度確認やドローンの使用感をヒアリングし、機体ごとに性能評価を行う。
また、実証実験と併せて、ドローン飛行で必要となる手続きを整理する他、手続きの明確化・簡素化も検討。21年度中にドローン飛行の各種行政手続きのマニュアル(暫定版)も策定する。
行政ニーズに応じた、汎用(はんよう)性の高いドローンを早期に開発・導入し、現場の生産性向上、働き方改革につなげる。
提供:建通新聞社