国土交通省は、施工時期の平準化の取り組み状況など、地方自治体へのアンケート調査と個別ヒアリングの結果をまとめた。「2021年度入札契約適正化法に基づく実施状況調査」の速報値。施工時期の平準化については、人口10万人未満の市区で、平準化「さしすせそ」の取り組みが全て未実施の団体が15団体まで減少したことが分かった=グラフ参照。
国交省が毎年実施している入札契約適正化法に基づく実施状況調査によると、20年度は、人口10万未満の市区で、平準化「さしすせそ」の五つの取り組みが全て未実施の団体が42団体あった。速報値では21年10月1日時点で15団体にまで減少。国交省が都道府県公契連などを通じて、改善の働き掛けを強めてきた成果が現れてきたようだ。
個別ヒアリングでは、未実施の団体から、▽職員・体制の不足▽庁内で平準化の必要性・意義が共有されていない▽具体的に何をすればいいか分からない―などが、平準化「さしすせそ」に取り組んでいない理由として挙げられた。
実務的には「交付金・補助金決定からの発注が多く、平準化を進めにくい」「明確な理由がない繰り越しは認められにくい(議会側含め)」といった課題が見られた。
未実施の団体からは、国に対して、具体的な取り組み事例や、必要性・効果の情報提供、財政部局・議会への働き掛けを望む声が上がった。
調査結果を踏まえ国交省は、小規模団体での職員のノウハウ不足を大きな課題と捉え、平準化の取り組み事例の横展開や市町村議会議長会への働き掛けなどを行っていく。
この他、20年11月時点で最低制限価格の算定基準が最新の中央公契連モデルを下回る基準だった人口10万人以上の市(54団体)に、個別ヒアリングを実施。21年12月時点で、54団体のうち30団体が最新モデルに改正していた。さらに11団体が改正を検討中とし、別の11団体は必要に応じて今後検討するとした。残る2団体は「改正困難」と答えた。
算定基準の改正に向けては▽基準引き上げによる入札不調の増加▽財政負担の増加―を懸念する声が上がった。
一方で、「平均落札率が高く、基準価格を下回る入札が発生していないため、(基準を改正しなくても)具体的な弊害がない」という意見もあった。
提供:建通新聞社