自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連、根本匠会長)の総会が1月18日に東京都内で開かれ、改正品確法の運用状況や、建設業の担い手確保に向けた取り組みを議論した。建設業団体からは、賃上げに向けた取り組みに呼応するため、公共工事設計労務単価と技術者単価の継続的な引き上げ、積算基準での現場管理費・一般管理費の引き上げを求める声が上がった。
昨年末、政府は「新しい資本主義」の実現に向け、人への投資を強化していく考えの下、賃上げを行う企業を公共調達で優遇する方針を打ち出した。
国交省では、総合評価落札方式で賃上げに取り組む企業を加点する評価制度を創設。賃上げを積極的に行う企業に対し、2022年度から直轄工事・業務などの総合評価で加点していくことを決めている。
一方、日本建設業連合会や全国建設業協会などの建設業団体は、賃上げに対応していくために、企業の利益率を上げ、賃上げ資金を確保することが必要不可欠とし、労務単価・技術者単価の継続的な引き上げ、積算基準での現場管理費・一般管理費の引き上げ、低入札価格調査基準・最低制限価格の上限枠の引き上げなどを求めた。
改正品確法は品確議連がまとめ、19年6月に成立。現場の処遇改善、働き方改革、生産性向上を、担い手の育成・確保につなげることを目的に、公共工事での発注者と受注者の責務を明確にした。20年1月には同法の運用指針も改正されている。
総会の冒頭、根本会長は、「(現場の処遇を改善し担い手確保につなげるという好循環の理念を踏まえると)品確法は、政府が打ち出した『新しい資本主義』を先取りしている」とした上で、「現在の関心事は、公共調達での賃上げ優遇措置だ。具体的にその影響や効果がどうなるのか。しっかりした制度になるようにさらに詰めた議論が必要」とする考えを示した=写真。
総会ではこの他、国土交通省が、改正法成立後の政策展開の状況を報告した。週休2日の取り組みについては、依然、技術者の約4割が4週4休以下で就業していると説明。公共工事で週休2日工事が拡大する一方、浸透が難しい民間工事では、好事例集などを作成し周知・啓発していくとした。
また、9年連続で設計労務単価を引き上げている状況や、ダンピング対策など賃上げ実現に向けた取り組み状況を説明した。
提供:建通新聞社