国土交通省は、維持工事の担い手確保のために、「『やりがい』にターゲットを絞った戦略が必要」とする問題意識をまとめた。近年、維持工事は需要が増えつつある。一方で、技術者が高齢化しており、持続可能な維持工事の実現に向けて、新たな担い手の確保が待ったなしになっている。
問題意識は、「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の維持管理部会で提示した。
新たな担い手の確保に向けた建設業の在り方について国交省は、「働きやすさ」のみを追及すると、働きやすいが力がつかない「ゆるブラック企業」になると懸念。建設業が持つ「働きがい」「やりがい」「地域の守り手」としての使命を実感できる取り組みを進めることで「ホワイト企業」を育成する必要があると考える。
その上で、維持工事の担い手確保のための対応では、若者の就職の動機付けとして、受発注者による現場見学会や出前講座、インターンシップを積極的に開催するなどの検討が必要とした。
併せて、維持管理のイメージアップが不可欠とし、若者をターゲットとした「会員制交流サイト(SNS)や動画による情報発信」や、災害現場で活躍する建設業者・技術者の情報発信が必要ともした。
国交省がCORINSに登録された道路維持修繕工事の2010年度と20年度の契約データを比較したところ、この10年間で道路維持修繕工事の契約額は2・5倍ほど伸びたが、従事技術者数の伸び率は1・2倍にも満たなかった。
さらに道路維持修繕工事の技術者の年齢構成をみると、10年度に全体の1割程度だった、60歳以上の技術者の割合は、20年度には全体の2割を占めるようになった。一方で、10〜30歳代の技術者の割合は10年度に全体の4割を超えていたが、20年度には2割程度まで減少。持続可能な維持管理体制の実現に向けて、新たな担い手確保が不可欠となっている。
提供:建通新聞社