国土交通省は、賃上げを積極的に行う企業に対し、2022年度から直轄工事・業務などの総合評価落札方式で加点する。賃上げ分の加点は、対象案件の加算点の合計の5%以上となるように設定する。例えば、従来の加算点が40点満点の場合、賃上げ分としてさらに3点以上を加点(加算点の合計43点以上)することで、「加算点の合計の5%以上」(賃上げ分の加点3点/加算点合計43点=約7%)の条件を満たすようにする。
加点措置は、4月1日以降に契約を締結する総合評価の全ての案件に適用していく。入札参加者から「従業員への賃金引上げ計画の表明書」の提出を受け加点する。賃上げが行われたかどうかの実績確認は事後に行う。
入札参加者からの賃上げ表明は、各企業の事業年度か事業年のどちらかの単位で受け付ける。
求める賃上げ基準は、政府が取り組む賃上げ促進税制の優遇措置と同等。大企業であれば、従業員1人当たりの平均受給額を前年度比3%、中小企業であれば給与総額を1・5%上昇させることを入札時に表明させ、表明した企業を総合評価で加点する。
実績確認は、加点を受けた企業の事業年度または事業年の終了後に行う。年度単位の場合、法人事業概況説明書または税務申告の作成書類、年単位の場合、給与所得の源泉徴収票などの法定調書合計表を、加点を受けた落札者が国交省の契約担当官に提出。その後、国交省から財務省に報告することになる。
賃上げ基準に達していない者の情報は財務省が整理した上で、国交省に通知される。
未達成者が国の総合評価に入札参加する場合、財務省の通知日から1年間、全ての案件で入札時の加点割合よりも大きな減点措置(1点大きな配点)が科される。減点措置の詳細な開始時期や期間は契約担当官から未達成者に通知される。
共同企業体(JV)で加点を受ける場合は、構成員ごとに表明が必要となる。構成員の一部が未達成者となった場合、その後の減点措置は、当該JV、未達成者となった構成員、未達成者となった構成員を含むJVに対して行われる。
加点措置は、政府の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」と「新しい資本主義」の起動に向けた取り組みの一環。政府全体で賃上げの環境整備を進めていくこととしている。国交省関係では、各地方整備局、北海道開発局、国土地理院、国土技術政策総合研究所、海上保安庁などでの総合評価が対象となる。UR都市機構や高速道路会社は含まれない。
提供:建通新聞社