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中央ニュース

2022/01/01

斉藤国交相 インフラは未来への投資

 斉藤鉄夫国土交通相は、建設専門紙の共同インタビューに応じ、各地で相次ぐ自然災害に対して、「国土強靱(きょうじん)化など必要な予算を確保し、質の高いインフラ整備を戦略的、計画的に進めていく」と、2022年の抱負を語った。技能者の処遇改善に向け、建設キャリアアップシステム(CCUS)については、登録促進の段階から「技能者にメリットを実感してもらえるステージ」に駒を進める考えだ。
 
―気候変動の影響により、各地で豪雨災害が相次いでいます。
 「頻発・激甚化する自然災害に対しては、加速するインフラの老朽化も踏まえ、中長期的な視点で必要な予算を確保し、質の高いインフラ整備を戦略的、計画的に進める必要がある。未来への投資であり、自然災害から国民の命と暮らしを守らなければならない」
 「このため21年度補正予算では、5か年加速化対策の2年目として十分な予算を確保した。22年度当初予算案でも『安全・安心の確保』『持続可能な地域社会の形成』『経済成長』の実現に向けた必要な予算を盛り込んだ」

―昨夏、熱海・伊豆山地区では違法な盛土が土石流となって多くの人命を奪いました。盛土が原因となった災害の防止をどのように進めますか。
 「昨年末時点で全国約2万8000カ所の点検が暫定的に完了した。このうち四つの点検項目のいずれかに該当する盛土が1375カ所あった。危険性が高い盛土は行為者による是正措置を基本とし、地方自治体の対策工事を財政的に支援する。全国一律の安全基準の設定や罰則強化などの内容で法案をまとめ、この通常国会に提出できるよう、関係省庁と連携して準備を進める」

◇「CCUSメリット実感のステージ」
―少子高齢化で担い手の確保・育成が急がれています。
 「建設業は『地域の守り手』であり、災害時の安全・安心や地域経済を支えている。一方で、高齢化が進んでおり、近い将来、高齢者の大量離職による担い手の減少が見込まれる。若者の入職を促進するため、処遇改善や働き方改革、これらを可能とする生産性向上に取り組むことが重要だ。公共工事設計労務単価の引き上げなどで、さらなる賃金上昇につながる好循環が継続されるよう、官民が一丸となってダンピング受注の排除や適正な請負代金での下請契約の推進に全力で取り組んでいく」
 「技能者の技能と経験に応じた賃金支払いを実現するため、CCUSの普及・促進にも力を入れる。登録促進の段階から現場利用の促進、メリットを技能者に実感してもらえるステージに進めるべく、さらなる利用促進策に力を入れる」

◇「インフラDX『挑戦の年』」
―社会資本整備の変革のかぎを握るインフラ分野のデジタル・トランスフォーメーション(DX)ですが、どのように根付かせていきますか。
 「公共工事の現場では非接触・リモート型の働き方を推進する。デジタル技術を使い、管理者側の働き方や国民に提供するサービス・手続きを含めたインフラまわりをスマートにし、従来の『常識』を変革していく。具体的には、遠隔での監督検査やデジタルデータを活用した配筋検査の試行、3Dハザードマップの公開を進めている。インフラ分野のDXにとって22年は『挑戦の年』となる」

―脱炭素、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みも重要です。
 「インフラ分野の脱炭素化では、CO2削減につながる材料、建設機械、施工方法の観点での取り組みが必要だ。工事発注時にカーボンニュートラルに関する技術提案を評価して企業選定する試行を進めていく。道路照明灯のLED化、ダム管理用電力のための水力発電強化にも取り組み、再エネ、省エネ対策を総合的に実施していく」

提供:建通新聞社