政府は12月27日、中小企業の賃上げの原資を確保できるよう、労務費や材料費の上昇分を価格に転嫁できる環境を整備することを閣議了解した。「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」としてまとめたもの。2022年度から、公共工事の総合評価方式で賃上げを表明した企業に加点したり、民間工事の発注者には適正価格での契約や適正工期の設定を要請する。
政府は27日に経済団体や各業種の事業者団体を招いた会合で、施策パッケージを決定。このパッケージを踏まえ、政府全体で賃上げの環境整備に取り組むことを閣議了解した。毎年1月から3月を「転嫁対策に向けた集中取組期間」とし、政府を挙げて賃上げのための環境整備を推進する。
施策パッケージでは、親事業者が下請け事業者から要請された場合、適正な利益を盛り込むよう協議に応じることとした。下請け代金は可能な限り現金払いとし、手形で支払う場合も支払いサイトを60日以内とするよう、改めて要請。下請け事業者の働き方改革に対応できるよう、コスト負担を伴わない短工期での発注や、仕様変更を行わないことも求めた。
公共工事では、22年度から賃上げを積極的に行う企業に対し、総合評価で加点する方針を示した。大企業であれば、従業員1人当たりの平均受給額を前年度比3%、中小企業であれば1・5%上昇させることを入札時に誓約させ、誓約した企業を総合評価で加点する。
一方、公共工事の発注者には、適正な請負代金の支払いや適正工期の設定を求めている品確法の趣旨を徹底。労務費、原材料費、エネルギーコストを適正に反映した価格・工期の確保を要請する。契約後の状況に応じ、必要な契約変更を実施することも求める。
民間工事の発注者に対しては、国土交通省が年明け1〜3月の集中取組期間にモニタリング調査を実施し、請負契約締結の状況を確認する。
提供:建通新聞社