国土交通省は12月20日、建設業社会保険推進・処遇改善連絡協議会を発展的に改組した「建設キャリアアップシステム(CCUS)処遇改善推進協議会」の第1回会合を開いた。社会保険加入の取り組みが一定レベルまで浸透したため、今後は、都道府県レベルの元請け・下請け業者、専門工事業者との連携を深めながら、CCUSの利用を通じた社会保険加入の徹底や労務費・法定福利費の確保、建設業退職金共済の普及など、技能者の処遇改善に力を入れる。別に懇談会と官民連絡協議会も立ち上げ、CCUS推進体制を充実する。
CCUS処遇改善推進協議会は、建設業界団体をはじめ、能力評価実施団体、民間発注者団体を含めた103団体で構成し、CCUS推進体制の一翼を担う。民間発注者団体は前身の協議会ではオブザーバーだったが、正式メンバーとして加入。官民の幅広い関係者が一体となって、より総合的な処遇改善方策の取り組みの推進を目指す。
CCUSについては、登録技能者数が76万人を突破し広がりを見せている。一方で、地域の中小建設業者への普及が課題となっており、国交省は、特に都道府県レベルの元請け・下請け業者、専門工事業者との連携を深め、CCUSの普及・利用促進に取り組むとしている。
具体的には、元請けによるカードリーダーの設置、CCUSの能力評価を手当てに反映する取り組みの横展開など、技能者の技能・経験に応じた処遇環境づくりに力を入れる。直轄事業でのモデル工事の優遇措置や経営事項審査での加点評価も推進する。
こうした取り組みを着実に進めるため国交省では、CCUS処遇改善推進協議会とは別に、元請け建設業団体の理解を踏まえつつ、主要な専門工事業団体と意見交換する「CCUS評価制度懇談会(仮称)」や、各都道府県建産連と連携する「都道府県CCUS官民連絡協議会(仮称)」も立ち上げる。
このうち「CCUS評価制度懇談会」は年内に設置し、年明けから具体的な議論を進め、能力評価制度の改善ニーズを探る。一方、「都道府県CCUS官民連絡協議会」は、2021年度中に10県程度で設置する予定。すでに宮城、福島、栃木、長野、岡山、宮崎、鹿児島の7県への設置が決まっており、地域ごとにCCUSの普及・利用促進に向けた情報共有に取り組む。
会合の冒頭、国交省の長橋和久不動産・建設経済局長=写真=は「CCUSは技能者の処遇改善に必要なインフラ。業界が一丸となって登録、利用を着実に進め、処遇改善に取り組む企業を適正に評価していく必要がある」と述べ、率直な意見交換を求めた。
提供:建通新聞社