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2021/12/20

ガイドラインで自治体の災害復旧円滑に

 国土交通省は、市町村での災害復旧事業を円滑に実施するためのガイドラインをまとめる。有識者を交えた検討会で課題を整理し、2021年度中に制度改善方策案やガイドライン素案を作成する予定。12月17日に検討会の初会合を開き、市町村の災害復旧事業の現状と課題、今後の検討の方向性を示した。
 初会合では、国交省が市町村の災害復旧対応の現状と課題を整理。「20年時点の自治体の技術系職員数が1998年と比べ4万4000人ほど減少し、災害対応に必要な技術力の蓄積・継承が困難になっている」と報告した。大半の町村が技術系職員数5人未満で、7割以上の村で技術系職員がいない。
 さらに市町村のうち約4割は、過去10年間の災害復旧事業の経験数が1回以下となっており、災害査定や災害復旧事業を行うための経験が蓄積できていないという。
 その後、岩手県岩泉町と福岡県が最近の災害対応事例を紹介。それぞれ災害復旧事業の取り組み状況を説明し、マンパワーが不足している厳しい実情を伝えた。
 近年、大規模災害に見舞われた市町村では、技術職員の不足や災害対応経験の不足、測量・設計業者が確保しにくいといった理由から、災害復旧の着手までに時間を要している。
 国交省では、自然災害が頻発化・激甚化する中、市町村が災害復旧を円滑に行うことができるよう、支援方策の在り方を検討するとともに、好事例を示したガイドラインを作成する。
 検討会の冒頭、国交省の井上智夫水管理・国土保全局長は、「治水事業の効果が上がる一方、自治体の技術職員が減少するなど災害体制がゆるんできた。現場の体制を立て直す必要がある。支援制度の改善方策や好事例の横展開の検討を急ぎたい」とあいさつした。

提供:建通新聞社