原材料や燃料などの価格高騰による建設工事への影響が懸念される中、国土交通省は12月14日に2021年度「建設資材需要連絡会合同会議」を開き、各資材業界団体と建設資材の需要動向について意見を交わした。燃料価格高騰の影響を受けている建設資材も見受けられ、一部資材団体からは先行きを懸念する声が上がった。ただ、現時点で需給バランスは崩れておらず、今のところ安定的な資材確保に大きな問題が生じていないことも確認した。
同会議は建設資材の需要予測に基づき、国、関係資材団体で建設資材について情報交換し、連絡を密にすることで、建設資材の安定的な調達、公共事業の円滑な推進につなげる。1976年度に創設し毎年開催している。
今回の会合では、国交省が2021年度の主要建設資材需要見通しを説明。建設投資の増加が見込まれる中、アスファルト以外の資材で昨年度より需要が増加する見通しを示した。アスファルトは昨年度に大きく伸びたこともあり、21年度は前年度とほぼ同水準で推移するとした。
木材の入荷量については林野庁が1月から10月までの推移を説明。種類別では、丸太と合板で累計が前年同期比増となった。
その後、セメント協会や全国生コンクリート工業組合連合会、日本鉄鋼連盟、鉄鋼スラグ協会、石油連盟、日本アスファルト合材協会、コンクリートパイル・ポール協会、全国建築コンクリートブロック工業会などがそれぞれの資材需給実績や業界の現状を報告した。
このうち、日本アスファルト合材協会は、「燃料価格の高騰がアスファルト合材の製造に影響が出始めている。今のところ安定的に確保できているが、先行きが懸念される」と述べた。
冒頭、国交省の西山茂樹建設市場整備課長は、「近年、大雨による被害が多発している。地域を支える建設業の重要性を改めて認識した。資材団体には、建設資材の安定的な供給を通して良質な社会資本整備に尽力してもらっている。今後は大阪万博の関連工事が予想される。連絡を密に円滑な公共事業執行にきめ細かく対応していきたい」とあいさつした。
提供:建通新聞社