財務省の財政制度等審議会は、2022年度予算編成に関する建議を鈴木俊一財務相に提出した。建議では、公共事業費の繰越額の増加を問題視し、国庫債務負担行為を活用して予算執行を平準化し、可能な限り繰越額を削減するよう要請した。建設業の労働生産性が「低い状況にある」とも指摘し、工期短縮や省人化に向けた新技術の導入を加速するよう求めた。
「防災・減災、国土強靱(きょうじん)化のための5か年加速化対策」で前年度を上回る規模の補正予算が措置されたため、20年度の公共事業費は翌年度への繰越額が増加した。国土交通省の直轄工事のうち、工期1年程度の事業の執行状況を見ると、10月以降に契約する工事が全体の3割を占め、そのうち4割の事業が年度末に繰越手続きを行い、翌年度に執行されている。
建議では、効率的・計画的に公共事業を執行する重要性を指摘し、翌年度にまたがる見通しが立つ事業に国庫債務負担行為を活用するなど、繰越額を削減するよう求めた。
一方、建議では、建設業の労働生産性の低さについても問題提起。近年の建設業は、手持ち工事量が増加傾向にあり、他産業よりも突出して人手不足にあるとして「生産性向上が喫緊の課題」と強調した。建設現場のボトルネックを見極め、工期短縮や省人化に役立つ新技術の導入、AIを活用したさらなる効率化を図り、公共事業のコスト縮減を着実に進めるべきとの考えを示した。
提供:建通新聞社