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2021/12/02

法定福利費 発注者が算出根拠確認

 国土交通省は12月1日、公共工事の受注者が提出する請負代金内訳書の法定福利費額を確認するよう、全国の地方自治体に通知した。受注者が提示する法定福利費が予定価格に含まれる法定福利費概算額の「2分の1」を下回る場合、受注者に算出根拠の確認を指示することも求めた。算出根拠を確認しても、受発注者の法定福利費に乖離(かいり)がある場合には、建設業許可部局と連携して受注者から事情を聴取してもらう。
 法定福利費は事業主が納付義務を負う健康保険、厚生年金保険、雇用保険の保険料。労務費とともに本来固定費であるべき費用だが、受注競争が激化し変動費化した状態が続いているとされる。
 建設業法に基づく建設工事標準請負契約約款では、請負代金内訳書に法定福利費を内訳として明示することが定められているにもかかわらず、元下間、受発注者間で徹底されていない現状もある。
 2020年度の入札契約適正化法に基づく実施状況調査によると、法定福利費を内訳明示させる取り組みは、国関係で進む一方、都道府県や政令市は一部の団体にとどまる。中でも市区町村では、請負代金内訳書で法定福利費の内訳を確認していない団体が8割に上っている=図参照=。
 こうした状況を踏まえ、国交省は自治体に通知し、内訳明示の履行強化を促すため、請負代金内訳書での法定福利費の確認手順を明示した。
 請負代金内訳書の提出に際して法定福利費が内訳明示されているか確認するとともに、発注者が積算した法定福利費の概算額に対して2分の1以上の法定福利費が確保されているかを確認するよう要請した。
 法定福利費額の確認は直轄工事で先行している取り組み。法定福利費が基準額を下回る場合、受注者に対して算出根拠の確認を指示する。それでも改善されない場合、建設業許可部局と関連部局が連携して受注者から事情を聴取。不正の疑いがあれば建設業許可部局で必要な措置を実施することになる。

[技能レベルに応じた労務費確保を]

 一方、国交省は同日付で、主要な民間発注者団体に対しても、法定福利費支払いの前提となる労務費などの必要経費を見込んだ発注と、法定福利費が着実に確保されるよう見積もり・契約で配慮することを求めた。
 建設業団体にも通知し、標準見積書の活用による労務費と法定福利費の見積もりの尊重を要請。具体的には、建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価の技能レベルに応じた想定人工で労務費を算出し、標準見積書に反映することを求めた。

提供:建通新聞社