全国建設業協同組合連合会(全建協連、青柳剛会長)は、公共工事の入札で最低制限価格(低入札価格調査基準価格)を算定する際の一般管理費について、中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)の現行モデルが「55%」としている算定率を「90%」に引き上げることを要望していく。11月24日に開いた正副会長会議と理事会で決めた『全建協連の新たな取り組みと提言・要望』に盛り込んだ。所属員企業に対する建設キャリアアップシステム(CCUS)の普及支援などにも取り組んでいく。
国や公団・事業団などの発注機関で構成する中央公契連の現在のモデルは19年3月に改訂したもの。最低制限価格の算定式は「直接工事費×97%+共通仮設費×90%+現場管理費×90%+一般管理費×55%」で、下限を予定価格の75%、上限を予定価格の92%としている。
一般管理費の算定率の引き上げは元請けの内勤職員の待遇改善を課題に要望する。算定率を90%に引き上げた場合、一般管理費が総工事費の10%を占める工事のケースでは、算定額は3・5%上昇する。
予定価格の92%になっている最低制限価格の上限の改正を含め国土交通省に要望していく。
組合員へのCCUSの普及支援は、厚生労働省が概算要求に盛り込んでいる「人材確保等支援助成金制度」を活用するもの。組合の所属員企業に対して、事業者・技能者登録料やカードリーダーレンタル料を支援する。
登録を全建協連が代行し、費用の3分の2を国の助成金で賄う。残る3分の1については、既に登録している企業との公平性を勘案し、全建協連と所属員企業が半分ずつ負担することを検討している。
2022年4月からスタートしたい考え。
[労務単価の特例措置も提言へ]
このほか、長引くコロナ禍による労務単価の低下を懸念。22年度の設計労務単価の低下に歯止めをかけるため、「コロナ対策特別措置を見据えた制度設計」を国土交通省に提言していく。労務費の調査結果がマイナスになった職種の単価を前年度と同額に据え置く特別措置は21年度も行われており、これを上回る対策を求める。
同日行った記者会見で青柳会長は、今回まとめた提言と要望に関して「建設業に対するコロナ禍の影響は、他産業より遅れて現れてくる。元に戻るのにも時間がかかる。先手を打った対応が大切だ」と述べた。
提供:建通新聞社