国土交通省は、鉄道駅のバリアフリー化を加速するため、鉄道利用者に整備費を負担してもらう新たな料金制度を導入する。同制度では三大都市圏の鉄道を対象に、運賃にバリアフリー化の整備費を上乗せする形で利用者に負担を求める。このため年内に鉄道事業法の省令を改正する。
5月に策定された交通政策基本計画に基づく鉄道駅バリアフリー化の方針では、2025年度末までに1日当たり2000人以上が利用する597駅で段差解消(エレベーター設置など)、1047番線でホームドアを設置する目標が設定された。目標達成には従来目標のおよそ2倍の整備ペースが必要になる。
鉄道駅のバリアフリー化に当たって国交省は、毎年約46億円を鉄道事業者に補助(事業費の3分の1)してきたが、これらの目標を達成するためには、さらに毎年1000億円前後の補助が必要になるとも試算。新たな料金制度を導入し、目標達成のための財源とする。
運賃に上乗せして徴収した料金は、鉄道事業者によるバリアフリー設備の設置費や改良・更新費、維持管理費、収受システム改修費としてのみ充当できる。
同料金制度を利用したい鉄道事業者は、新たな料金徴収額や対象駅、バリアフリー化の整備計画を国交省に届け出る他、広く公表する必要がある。同料金制度と国による補助制度は併用できない(地方自治体の補助制度との併用は可)。
上乗せする金額について国交省はアンケート調査を踏まえ、1回の乗車につき最大10円が妥当と見ている。家計負担を考慮し通学定期料金については免除する。
国交省は省令改正後、年明けから整備計画などの受け付けを始める。ただ、運賃値上げに伴う鉄道事業者による料金収受システム改修が1年〜1年半程度かかるとみられ、新たな料金制度の運用開始は2023年春ごろになる見通し。
バリアフリー整備の加速化ではこの他、地方部での既存支援措置の拡充も予定。従来を大幅に上回るペースで全国の鉄道駅のバリアフリー化を加速する。
提供:建通新聞社