UR都市機構は総合評価方式による建築工事と設備工事の入札で、地方の都市再生事業を対象に地元企業の参加機会を拡大するための仕組みを用意した。また、手続きを巡る事務負担の軽減や新規参入の促進、建設業の生産性向上などを目的に、施工計画の提案で選択制を採用したり、新たな評価テーマを設定したりした。今後、各地域の本部や支社が適用案件を決めて入札手続きを進めることになる。
働き方改革や生産性向上といった建設業への新たな社会的要請と、改正品確法の施行(2019年6月)を踏まえた対応で、再開発などの都市再生や、賃貸住宅の建て替えと耐震改修の建築関係工事に照準を合わせた総合評価ガイドライン(建築・設備部門)を10月に改定。その中で▽地方都市再生事業版(地元企業の参加機会の拡大)▽提案採用型(事務負担の軽減、新規参入の促進)▽施工計画の新たな評価テーマ(生産性向上など)―を導入した。
地方都市再生事業版は、国の簡易型に当たる「施工技術確認型」のタイプA(比較的簡易な工事向け)とタイプB(一般的な工事向け)に準拠して、WTO対象と団地再生を除く工事に適用する。それぞれのタイプで企業と技術者の評価から「UR工事の工事成績評定点」を外し、代わりに新規種目の「地域貢献度・地域精通度」を掲げて▽災害協定▽所在地▽近隣地域の施工実績(企業、技術者)―を評価することで、地元企業の参加機会を拡大。緊急対応の充実強化や災害時の担い手確保、地域産業の振興につなげる。適用する地域を別途定めることにしている。
提案採用型は施工技術活用型タイプBの一種。施工計画に関する評価で「選択化項目」の枠を設け、URから個々の工事の特性に応じて求めるテーマを示し、参加者に「採用」、「非採用」のいずれかを選ばせる。品質管理や環境配慮など記述式の提案数を制限して併用することで、参加者とURの双方の事務負担を軽減するとともに、新規参加者の参入促進を図る狙いがある。
施工計画の新たな評価テーマは、施工技術確認型タイプBの従来型と提案採用型、国の標準型や高度技術提案型に相当する「技術提案型」のタイプCとタイプDで設定。「生産性向上、業務省力化・効率化」と「維持管理性の向上」のそれぞれで、現場独自の提案を求めて評価する。
提供:建通新聞社