国土交通省は、建設業法上の営業所専任技術者と経営業務管理責任者がテレワークを導入できるよう、本店・営業所への常勤義務を緩和する。常勤の要件は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、2020年4月に特例として緩和していたが、テレワークが可能なICT環境が整っていることを条件として、今後も恒久的に要件を緩和する方向で検討する。
建設業法と建設業許可事務ガイドラインでは、建設業許可の要件として、営業所専任技術者と経営業務管理責任者を常勤または専任で配置することを求めている。
新型コロナウイルスの感染拡大が始まった20年4月、営業所専任技術者や経営業務管理責任者がテレワークによって職務に従事することが可能になるよう、国交省はこの常勤の要件を特例として緩和。本店や営業所に常勤している場合と同等の業務ができるICT環境や常時連絡できる体制を整えれば、テレワークによって事務所を離れることを現在も認めている。
11月5日に開かれた規制改革推進会議の「経済活性化ワーキング・グループ」では、日本商工会議所(日商)がコロナ収束後もこの特例を継続し、常勤義務の規制を緩和するよう要望。国交省は、経営業務管理責任者や営業所専任技術者の働き方改革を進めるためにも、テレワークが有効だとして、コロナ収束後もこの特例を継続し、恒久化を検討する考えを示した。
一方、営業所専任技術者は、営業所と近接する現場であれば、主任技術者・監理技術者として現場に配置することが認められている。日商は、現場の距離に関わらず、営業所専任技術者と現場の主任技術者・監理技術者の兼務を認めるよう要望した。
国交省は、この要望に対し、テレワーク導入の実態も踏まえ、適正な請負契約の締結と現場の安全・品質の確保が前提だとして「慎重に検討する」と回答するにとどめた。同省は11月下旬に「適正な施工確保のための技術者制度検討会(仮称)」を立ち上げる。この中で、ICT技術の利用状況を踏まえた技術者配置要件の見直しなどについても議論する。
提供:建通新聞社