建設業労働災害防止協会(建災防、今井雅則会長)は11月4日、デジタル化による現場の労働災害防止について話し合う「建設業における労働安全衛生管理DXの方向性に関する円卓会議」の初会合を開いた。ヒヤリハット情報を労働災害の防止に活用する「新ヒヤリハット報告」のデジタルデータ化とAI分析によって、安全衛生管理の新たな手法を検討する。
初会合の冒頭、建災防の井上仁専務理事は、建設業の労働災害の減少率が鈍化している現状を踏まえ「これまでの物的な対策や管理的な対策に加え、人そのものに着目した対策が必要だ」と強調。新ヒヤリハット報告のデジタル化の実現によって「これまで把握が難しかったリスクやヒューマンファクターの要因をデータ取得できるようになる」との展望を示した。
新ヒヤリハット報告は、労働災害に至らなかったヒヤリハットを労働災害を回避できた成功体験と捉え、労働安全衛生管理に活用する考え方。ヒヤリハットの背後にあるレジリエンス能力(予見・注視・対処・学習能力)に注目し、各現場からの報告を新たな安全衛生活動に生かす。
デジタル化された新ヒヤリハット報告をビッグデータとしてAI分析することで、人的な要素を含めた物的・管理的な対策に活用する。AIカメラやセンサーなどの情報を組み合わせ、無理・無駄・無謀な作業を洗い出し、現場の管理作業の効率化にもつなげる。
建災防では、新ヒヤリハットのデジタル化によって、現在の膠着した労働災害減少率を打破し、労働災害の大幅な減少へとつなげたい考えだ。
提供:建通新聞社