2021/11/13
全国建設業協会地域懇談会・ブロック会議(8)東海
第68回建設業協会東海4県ブロック会議が10月28日、名古屋市内で開かれ、4県の建設業協会が国土交通省と意見を交わした。4協会は、若年者の入職促進策や監理技術者複数制の導入などを提案。公共事業関係予算の安定的・持続的な確保や、新3Kの実現に向けた労務単価の引き上げ、適正工期の確保、労働災害の上乗せ補償に対する支援などを求めた。
開会に当たり、愛知県建設業協会の藤本和久会長は「地域の建設業の役割は、社会資本の整備・維持管理を通して地域の安全・安心を支え、経済成長や雇用確保に貢献すること。その担い手を確保・育成していくためには、働き方改革の加速と生産性の向上とともに、建設業の役割や魅力を発信していくことが必要だ」との考えを示し、「将来にわたり健全で持続的な発展が図られるよう、4県が連携して取り組んでいきたい」とあいさつした。
続いて、来賓としてあいさつに立った国土交通省不動産・建設経済局の大澤一夫官房審議官は、近年の災害などに触れた上で「地域の守り手である建設業がサスティナブルである必要がある。そのためにも女性・若者が活躍する魅力的な産業とすることが重要だ」と述べた。
会議では、愛知建協が「地域を支える建設業がSDGsを活用することで社会貢献や地域づくりにつながる」「自然災害や南海トラフ地震に備えるために予防的・継続的な対策が必要」などの考えを提示。その上で「多様な人材が働きやすい環境をつくり、災害に対する『地域の守り手』の役割を果たしていくためには、経営基盤の安定につながる安定的・持続的な事業量の確保が第一だ」と訴えた。
続いて、岐阜建協は「県内の建設業就労者数はピーク時の2000年度と比べ3割近く減少し、若年者が7割近く減っている」という現状を示した上で、その要因を「賃金が低い、休みが取りづらい、将来への不安」と分析。このため「若年者の確保には新3Kの実現が不可欠」として「労務単価のさらなる引き上げ」などを要望した。
静岡建協は、7月に発生した熱海市の大規模土石流災害を例に挙げ、「建設業の地域の守り手としての役割は、ますます大きくなっている」と強調。その役割を果たすために「2次災害の被災リスクが高い応急復旧作業に、労務災害の上乗せ補償が必要だ」とし、具体的に「労働災害や損害対応に必要な民間保険への公的負担」の検討を求めた。また、効率的な応急復旧に向けて、「行政と建設企業が災害情報を共有できるシステム」「出動指示を一元化する体制づくり」なども要望した。
三重建協は、「公共工事の監理技術者は、安全確認など省略できない作業により、週25時間程度の時間外労働が常態化している」とした上で、「作業を分担する監理技術者以外の現場管理担当に建設業法上の位置付けがない」ことを指摘。「時間外労働時間の上限規制に対応するためには、実態に即して監理技術者複数制を導入し、その経費を反映した現場管理費の改正が必要だ」と訴えた。さらに、建設業法の改正後も「民間工事契約における片務性は大きい」として、「建築基準法または建築士法で、工事監理を行う建築士などに週休2日制や時間外労働上限規制実現に向けた責務を規定する」ことを要望している。(地方建設専門紙の会)